昭和天皇は敗戦に際し、北朝の末裔である現天皇家の継承正統性の根拠「三種の神器」(南朝から譲り受けた遺物)を心配、自らの祖先崇拝の宗教(神道)に繋がる皇統を第一に考えた(宮内庁編『昭和天皇実録』)。
また日本国民(大日本帝国臣民)が原爆投下されていた時点で、昭和天皇は皇統維持の終戦工作を図っていた(豊下楢彦『昭和天皇・マッカーサー会見』)。
昭和天皇が1945年7月31日に木戸幸一内大臣へ語った事、『木戸幸一日記』より。
昭和天皇「先日、内大臣の話た伊勢大神宮のことは誠に重大なことと思ひ、種々考へて居たが、伊勢と熱田の神器は結局自分の身近に御移して御守りするのが一番よいと思ふ。(中略)万一の場合には自分が御守りして運命を共にする外ないと思ふ」昭和天皇が1945年9月9日、栃木県・奥日光に疎開していた明仁親王(平成天皇・今の上皇)へ送った手紙。
昭和天皇「(前略))敗因について一言いはしてくれ75年前まで日本は各地に植民地を持っていた。
我が国人が あまりの皇国を信じ過ぎて 英米をあなどつたことである
我が軍人は 精神に重きをおきすぎて 科学を忘れたことである
(中略)
戦争をつづければ 三種神器を守ることも出来ず 国民をも殺さなければならなくなつたので 涙をのんで 国民の種をのこすべくつとめたのである(後略)」
橋本明「昭和二十年九月九日の陛下の手紙」(鶴見俊輔・中川六平編『天皇百話』40-41頁)
日本国(旧・大日本帝国)は、153年前、明治政府が捏造した体制。それ以前は令制国下にあった連邦国で、皇族か大名が国守。北海道はアイヌの自治圏で、事実上、別の国。尚氏の支配した琉球王国も現役。
室町時代以後は日本国王と称する歴代将軍が支配。
平安時代まで東北地方はアテルイら先住日本人の自治区。現首都圏(関東地方)も、平将門の仕切る独立国状態。
古墳時代以前(伝説上の天皇が渡来する以前)は、卑弥呼の邪馬台国など諸豪族の支配する連邦国。
縄文時代以前(「天孫降臨」の天皇の先祖を含む、弥生民族が渡来する以前)は、縄文人・アイヌらの自治する、身分差のない共和国。
すなわち現日本列島の人々が、日本国という単一国家だった時期は全体の本の一部。総じて日本国憲法の定められてから75年間に過ぎない。
時間的にいえば、前石器時代・縄文時代は、現在までに発掘された最古の砂原遺跡から数え約12.2万年。
一方、渡来人の末裔たる現皇室の先祖が、飛鳥時代に奈良県で公に天皇と称し始める674(天武3)年から数え1346年。
天皇は中国の歴史書『史記』に初出する中国神話上の伝説的皇帝(三皇)の1人で、もともと身分差のない共和政日本(先住日本人の文明)にはいなかった存在。
天皇は中国語で北極星の別名でもあり、当時の飛鳥人がそれを知っていたとすれば天体のうち不動の存在の比喩として、中国神話上の名義を借りたのが今の皇室の先祖とも考えられる(もし知らなかったとすれば、単に中国神話の伝説上の皇帝名を借りたといえる)。
古墳時代の日本では、天皇家以外の古墳の出土する本州や、卑弥呼のいた可能性のある九州地方では、諸豪族の王朝支配が成立しており、その奈良県の一員だったのが天皇の先祖
したがって奈良の一豪族が政争を生き延びた為、神話を除く史実として合計1375年間存続している(但し、元正・元明天皇の時点で女系=ここでは母娘間で継いでいる)のが皇室で、その関西・関東地方を中心とした歴史は、先住日本人(アイヌ含む)の約12万2000年に及ぶ全史に比べれば、一瞬といわざるをえない。
今後、先住日本人の歴史と同様の長さにわたって天皇が存続するかは現時点で確定できないが、(先例に倣って女系であれ)天皇家が続いても滅びても、アイヌや縄文系の遺伝子(遺伝学的に辿れる限りでは、Y染色体ハプログループD系統)が残っている限り、先住日本人に比べ、その日本での歴史は相対的に短い事になる。
天皇を「象徴」とする表現は、75年前に日本国憲法で初出した箇所。
なお天皇も神話では「天孫降臨」し、宮崎県から上陸、奈良県へやってきた(「神武東征」した)渡来人(『古事記』『日本書紀』)。
また史実として、桓武天皇の母方は百済人の末裔(『続日本紀』)。
平成天皇「私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると、続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」(天皇陛下お誕生日に際し(平成13年)、宮内庁)日本国内にはアイヌ、その他の移民などが暮らしており、今も昔も日本人は単一民族ではない。
遺伝学的に、アイヌ・琉球(沖縄)・縄文人のY染色体ハプログループDと、渡来人のそれにあたるY染色体ハプログループO1b2の、遺伝子が別れたのは約7万年前。
つまり今の日本人(日本民族)に遺伝頻度が多い主な2系統は、最低でも共にアフリカから離れ、7万年間、別集団で暮らしてきた別民族だったのが科学的事実。
明治時代から昭和時代まで、アイヌ社会・琉球王国(現沖縄県)・李氏朝鮮(現韓国・北朝鮮)・満州・台湾・(タイ除く)東南アジア諸国・中国・ビルマ等で、残留孤児らを含む、日本人との混血があったのが歴史的事実。