2005年10月18日

散歩

僕は単純明快な呼吸を繰り返しながら地球を歩いている。答えはない、けど問題もない旅路だ。あるのは生きていく必要だけ。死なないでいる使命だけ。空には雲が浮かび、街には灯がともっている。秋の澄んだ空気が美しさについて冗舌な演説を行う。それを聴く。どこへ向かっているのだろう。何を探しているのだろう。どうにも無く、ただ単に歩いている。全て、それが。透明な時間を繰る。空間が五感へ訴える。間違いなく今日は今日だ。そして僕は歩いている。どんな話もないこの冒険が、明日の予感を設計する。僕は施工者だ。行き着く果てのない建設、歩行。落ち葉の噴水とベンチの律動、野良猫の昼寝に自転車籠のごみ箱。何度となく組み換えられては立てられる風景が上手な絵を描く、また消す。作り壊す。ささやかな植物が足元で踏みつけられる。小さな生き物たちが死に絶えて行く。それでも歩く。歩き、歩く。ある日、そんな散歩にも終わりが来る。我々は土に還り、自然を耕すのだろう。