規則正しく整列した人たちが兵隊みたいに行進してく風景だ。ここには疑問に付される何事もない。どんな迷いもない。悩まない。君はとどのつまり、目の前を歩いて行く名前も知らない誰かの後ろ姿を眺めていれば良い。歩き続ければ、問題は無い。
型どおりの人生が日本に産まれた僕には染み着いていた。授業中はできる限り目立たない様に大人しく振る舞い、成人したら誰とも衝突しない様に気を付けた。それだけで良かった。少なくとも、それだけで良いと信じていた。
足並みが崩れ始めた。前線が混乱しているのだ。停滞ができた。少し休もう。けど、なんだか物心ついて以来、初めてゆっくりと憩うゆとりが持てたみたいだ。朝日が昇り、正午を周り、夕日が沈む。その間ずっと、今までの自分とこれからの世界について考えていた。
どうして歩かなければならないのだろう。
そう思い至る。結局、理由も知らないままで歩み続けて来た僕がいる。もしまた行列が進み出したらお前は着いていくのか。それとも誰が何と言おうが自分の意志通りの道を行くのか。