2007年3月7日

建築論

文化多元主義に対する唯一の批判は建築だろう。換言すれば、統一の表現は建築術によってのみ現実的。様式を追求することは時代の工学水準と縁起している。可能性と実現性とは別の観念である。最も総合技術的な造形芸術は建築だから、究極型を暫時的にでも建設しうるのは唯、具体的建築術に拠る。対して、芸術の不可欠な目的が文明の側にあるのは明らかだ。
 文化すなわち地域慣習が福祉の基礎ではあれ、それ自体が審美術や趣味の対象になることはあり得ない。何故なら作為は自然に対する抽象で、その逆、自然が作為に対する抽出ではない。
 つまり技は自然からの文化的な結果。よって、作為の合計たる文明とは美術の同時代的実現形である。