「君はチョークにしては白いね」
私は突然こんなことをルパート・ウィングフィールド・ヘイズから言われた――デザートを食べ終わり、コーヒーが運ばれてくるのを待っているときの、その言葉の意味はまだ食べ終わらなかった。三秒ほどだろうか? 急に言われて驚いたし、意味は全然分からない。
目の前にいきなり出てきたルパート・ウィングフィールド・ヘイズは何かを言わんとしているらしいけど、モナリザの微笑みさえ浮かべていた。それもほとんど友好的といってもいい、穏やかな笑みでもある――とはいえ、皮肉の影はうかがえない。
そう、このルパート・ウィングフィールド・ヘイズは冗談なんかではなく、心から真剣に私にチョークにしては白いとのたまわっているみたいだった。
私が黒板の下の、あのなんていうのかわからない物入れみたいなところの、横棒のところに置かれている、なんらかのチョークの種類だと、ルパート・ウィングフィールド・ヘイズとしてまるきり信じているみたいだった。それは福田康夫首相が五輪選手だかなんだかに運動劣等感のせいなんだかしらないけど上から目線で「精々」という時の、それでも体育会系の人々の陸でもなさを十分しっている実に、現実感のあるあの様子みたいに、精々事実だった。私が、赤チョークという名のピンクのチョークや、あの私が好きなはず水色にちかいが幾らか曇った色味だから好みからいえばそうでもない色なのはあきらかともいえる青チョークだったら、なにか困る事でもあるのだろうか。ルパート・ウィングフィールド・ヘイズ界では。
アルカイックなルパート・ウィングフィールド・ヘイズは西野カナみたいだった。そしてルパート・ウィングフィールド・ヘイズなるものだけに、あるいは少なくともルパート・ウィングフィールド・ヘイズであるにもかかわらず、はるか地の底に潜って行った。私にとってポン・デ・リング宇宙は全体か部分いづれかが無意味だった。ルパート・ウィングフィールド・ヘイズちゃん。ばいびー。
もう一度書く。ルパート・ウィングフィールド・ヘイズちゃんちゃんちゃん、ばいびー。ばいばいびー(お手てフリフリ)。