MMT系「政府の赤字は民の黒字」説は、何が笑えるかなら社会主義を普通に信じている点で、それが日本右派の中にいるのが凄い。やっぱ明治の後遺症が民族を毒してるんだろうなと思うし、特に経産官僚レベルでも下手するとそうなんだからたちが悪い。国社信者を触媒にケルトンが日本を実験台にしにきた。
国社(国家社会主義)政策は薩長オタ維新オタの典型的発想で彼らからすると、震災時の孫正義の公然たる政商ロビーネタになんの疑問ももたれていない。要は彼らは自由放任が理解できないのである。日本の右派は主に2種類がいて、一つはただのアホでもう一つは明治オタである。どちらもたちが悪い。(前者についての補足「保守は論理が破綻している」)
官が赤字なら民は黒字説でソ連が潰れたんじゃないですか、と突っ込んでも、日本右翼は誰もまともに答えられないのではないか。なんでそんなに経済学の水準が低いの、ニューヨーク大の学者がいってたら正解だと思ってるの、と驚くまでもなく、単純にアホなのである。
より学術的にいうと、先ず物価上昇で貨幣鋳造、物価下落で財政出動、という景気調整機能を最初から理解し国経営してたのは徳川財政だった。これからだいぶ遅れてケインズが出てニューディールとなり修正資本主義と名づけられだし、一方、純粋国社主義のソ連や東ドイツが破綻して北朝鮮以外は残党が消えた。
中国は一国二制度で軟着陸した。日帝はこの間、国社主義の限界達して(大陸進出も財投だったわけだ)一度破綻し、新生したのに国社主義の官僚機構はそのまま残った。だから経産官僚からスピンアウトした村上世彰氏みたいなどっちかならリバタリアンちっくな自由派が、国税の目の敵になってしまうと。
この後にケルトン現れ徳川財政レベルのだいぶ古い原則(というか日本だと常識)を車輪の再発明し、「財政赤字は物価上昇率が一定値までなら大丈夫でしょ」と、世に言うインフレターゲット説で日本国を自説の実験対象にしてるのよと公言していると。これどういう意味かなら、庶民犠牲に値上げOKって話。
以前も自分のツイッター・ブログで考察したが(「ケルトン氏の操縦財政論」など)、要は昔は物価あげたら労組が怒って賃上げになったかもしれんが、今日も安倍ちゃんが7年連続で経団連とデキレースの口だけ賃上げ要求しようが、企業側は知らん顔で、隠れ値上げ分を懐手にできる。
状況違うというか政権は国民全体の公益より政権維持が目的の悪徳金権政やっているので、庶民はどんどん苦しくなり、企業だけ得する。ケルトンは「あんたんとこがソ連になってもしらへんえ。とりま物価あがったらお札刷れば」と、アベノミクス(笑。自分で笑)に都合のいい打ち出の小槌を提案している。
すなわち薩長イデオロギーにとって国社政策の権化であった開発独裁的「明治寡頭政治の夢」(明治オタは坂の上の雲ともいう)を再来させるので、安倍政権と足並み揃えている日銀総裁の黒田氏は目標値まで物価上昇を誘導してOKとしている。黒田日銀が日経ETF買って企業国有化したり、マイナス金利で量的緩和など。
経済に詳しくないとここは難しい箇所だけど敢えて書くと、日経ETFを国(日銀)が寡占すると株式市場の流動性が下がるのは当然として(余剰資金が新興市場に回りづらい)、業績如何にかかわらず大企業有利になるわけだ。日経225は値嵩に単純平均+微修正なので。つまり経団連へのアシスト。
他方で黒田氏はマイナス金利で各銀行が預金を日銀に預けてる(又は国債買う)と損する状況にし、自分でリスクとって市中に金回せと誘導しているので、これは景気対策として理解できる範囲だ。アベノミクス(笑)と呼んでいたトリクルダウン政策(笑)に連動していたので、結果が格差社会だっただけだ。
簡単にいうと、黒田氏はかれの良識的にできることをやったのかもしれないが(でもさほど優秀でなかった)、安倍官邸のほうは残念な明治の夢(森羅万象を中央政府が肩代わりする開発独裁志向)をみてる上に、竹中平蔵流のトリクルダウンを前提にしてたので国民一般を貧しくする結果に終わったわけである。
ではケルトンのそそのかしにまんまとのってる自称財政通が、なんでソ連そのものの国社政策に乗っかってしまうかだが、これを理解するに便利な人物が山本太郎氏である。かれは福祉財源としてMMT流の打ち出の小槌を正当化する。すなわち社民政策と混同してるわけだ。
確かに国社も社民も社会主義なのは同じだが、違うのは前者は開発独裁、後者は高福祉が目的なところである。ケルトンは高福祉志向では毛頭ない。単に物価上昇を抑えられれば無限にお札刷っても問題ないという失敗したら紙切れだけども責任とれるの? としかいえないエクストリーム財政論の立場である。
幸運な事に、今の官邸には麻生太郎といういちおう財閥の跡取りがいる。一応というか北九州でお上の代名詞でしょうが、この人がMMTが大丈夫とか誰も思ってないとか、内部留保税は法人税と二重課税でしょとか、仮想通貨NGとか、よかれあしかれ保守的な判断するので日本株の保有者はだいぶ助かっている。
要はこの漢字よめない漫画好きのアホといわれて久しい麻生財務大臣の功績により、ケルトンの魔の手(山本氏と安倍氏には舌打ち)から国の経済が辛うじて救われている状況である。京大教授だったかがケルトン連れてきたのが悪い。いや連れてきてもいいけど洗脳されてるやつらも、ちゃんと勉強すべきだ。
冒頭にもどって再度結論を書くと、MMT系の「国の赤字は民の黒字」説は、徳川財政250年の歴史を辿れと家広氏に教わるべきかもしれん。この説のおかしさは色々ありすぎるが最大なのが、じゃあソ連はなんで崩壊したのというので尽きる。明らかに不採算事業に投資資金集めたら全員損するだけである。
「国の赤字は民の黒字」説の起源がもしケルトンだとすると、この女史はケインズの「穴の埋め戻し事業」とか「ピラミッド建設事業」をどう評価するのか。本気でそれが有効と信じてるなら、北朝鮮を賞賛すべきでは? マスゲームにどれだけ経費かけてるか。福祉はお情けとサッチャーに学ばなかったのか?
最低所得保障(これは基本的人権だ)を超えて、例えば国民の大部分を公務員にしたとしよう。これがMMTの究極形態であって、仮に山本太郎王朝の北欧風理想国としよう。その社会をサッチャーがみたら「金持ちをニートにしたところでニートを金持ちにはできないのです」とネトゲ廃人を速攻煽るのでは?
勿論、ツイッチだのユーチューブだのミルダムだの、任天堂の配信許可だのアップルマイクロソフトの参入だのネトゲ廃人が主流労働になる時代はすぐそこまで来ているから、山本王朝へのただ乗りは単に時間の問題でもある。温情というより投資戦略である。イースポーツどころか文化大国である。
ではみたびMMT系「国の赤字は民の黒字」説はどこが変か。或いは大正義であって、山本首相に大期待してだれもみない荒野行動声出し配信でもやってりゃいいのか。恥ずかしいのに。
結局、ケルトンはサッチャイズムの批判者だった。それはいい。財政は極端が悪い。徳川伸縮財政の中道に学ぶべきだ。