2006年12月28日

労働者

夜明け前の大地にはどんな影もない。人々は沈黙の闇に沈み、語られない言葉は消えた。それでも太陽は昇る。誰にも止められはしない。君はあたかも自然に起きる。世界の建設へ参加する為の一日が始まったから。文明からの序曲がやがて周囲を満たす。君は朝日に溶けて、その限りない光へ身を浸す。働くだけで救われるなら安いものじゃないかと、君は自分に問いかける。懸命に献身するだけで良い。後は何も要らない。素晴らしく合理的な仕組みだ。社会は生産を能率化する事に集中していく。君は仕事を功利化していく事に集中していく。誰にそれらを邪魔できるのだ。働かねばならないと、君は呟いた。宇宙は私に関わらず続いている。進め。誰の為でもなく、生き延びる為だけに。