2006年12月30日

芸術論

行為の痕跡という点まで遡ってこそ、芸術の根源的な意図は果たされるだろう。我々が文明都市を築くのはこの為だけだ。いいかえれば我々は生命の記録の為に懸命に生活体の粋を抽象しているのである。君は多くの遺跡のうちにのみ、このような芸術家の努力の痕とその意義を認める。
 美術郷土品として発掘される幾多の作品は都市遺跡の部分の意味で、我々へある時代背景を技法の次元で伝えるのだ。それが天才の手になるものか、あるいは大多数の凡人の手になるものかは重要ではない。というのは、模範的な指導者は他の全般諸工作へ影響を与えずにはおかなかったから。
 我々が文明の記録を後世へ延べ伝える使命には都心が携わらねばならない。実際には、都市計画の指揮を執る建築家にしかこの仕事の創造は不可能である。又、我々は音楽や文芸をこの都市総体の一部として建置する。どの側面が遺されるにせよ、文明建設の造型表出として芸術の史的位値はある。そして伝統に価する創意の結実こそが文明の証拠として芸術の普遍目的になる。