2023年7月31日

最悪の魂の人間達

僕は39年間生きてみたのだが、とにかくろくな人間がいなかった。

 最近みたのは性犯罪者の人で、明らかに異常な嘘つきだったが、僕が11年間毎日話していた無二の魂侶といえる女性を騙していた。しかもその性犯罪者はその女性を性被害にあわせ平気そうで、現にその女性に犯した強制性交致死傷罪によって無期懲役になり、いづれ監獄で死を迎えるのは明らかな超悪質な人格だった。しかし驚くべきことは、その極悪人に、魂侶の女性みずからが大発情していたのだった。これは驚きをこえて、僕へ人間性のうち女性性の美質を根本から疑わせ得るきっかけを与えるのは自明であった。そんなに醜い心の女なんて僕は初めてみたからだ。
 11年、僕は一日も、一秒も欠かさずその女性の救護に尽くしていたと考えてよいが、その果てに、彼女は異常な姦淫の暗面を表し、救えない邪悪さを魂侶状態の僕へぶつけてきた。その女は精神薬の過剰摂取や酒などで酩酊していた様にみえたが、そういう悪辣面も含め、まったく救えないほど魂が醜悪なのだった。彼女の普段の様子は違ったので僕はすっかり騙されていた。
 彼女は遠い青森に住んでいるので自分には定かでなかったが、事件後彼女が吐露したところでは医者から出された薬以外に普段から密かに買い込んだなにかの精神薬を微量に服用していたらしい。だがそんなことはつゆ知らぬ僕と去年の暮れに一度会ってから、11年越しにはじめて会った彼氏といえる僕とひとことも話せなかった自閉の彼女は実際に口語でも話したくなったのか、脳を会話可能になるまで酩酊させるためなのかどんどんデパスという薬の量がふえはじめた様にみえたが、ついにツイッターのダイレクトメールで陰で隠れて一か月ほど連絡をとっていたらしい性犯罪者と謎の姦淫自殺未遂事件を起こした。性加害者の男の方は、そういう気が狂った自殺志願者を座間首吊り師式に一緒に死のう死のう詐欺で釣って、薬物性交を繰り返す異常性癖の重大犯罪者だった。
 その女性は精神障害1級の判定を受けていて、貧困のなか虐待やいじめを受けてきている可哀想な境遇の人なので、自分にできるすべての支援を力のかぎり僕はしてきたのだが、最後に彼女がやったことは救いがない。尤も、性加害者の方の完全な最悪さに比べれば、薬物過剰摂取の恐ろしさや、その離脱症状による破滅的行動の数々も、まだ生温い悪だったのだろう。

 僕は善女に擬態した悪女をなんとか助けようとしてしまっていた。
 確かにそれは失敗だった。だが、地上のおよそ誰にも、まさかシンデレラが信じられないほど、救いようのないあばずれだとは見抜けなかったはずだ。