2019年8月23日

理想と現実について

現実が理想と違うと現実逃避する人は単純に愚劣だ。理想は現実を自ら変えていく際の方向性という意味しかなく、そもそも現実に立脚した要素だからだ。そして理想が他人から与えられると思っている人もまた致命的に愚劣である。他人の理想が自分のそれと重なることはまれで、その種の理想を生み出した思想的背景が違うほど当然の如く他人は違う。
 人は現実を受け入れその中で最善の行動をとれば十分幸せになれるのであり、妄想や空想、偶像崇拝へ逃げ込む者はこの点で永久に幸せになれない。幸福は現実解釈の一様態でしかないからだ。
 妄想と理想は本質的に類似の空想で、理想の方が質が高いものへあてられる言葉というだけである。
 愚劣な人はそうでない人に比べ、どうでもいいところで現実的だが、肝心なところで空想に耽りがちである。凡愚はそうしてとるに足りない一生を経ている。