科学は常識に逆らう。信念は個人の自由。誰かが自分を信頼して欲しいと主張するのもまた自由。米軍の辺野古基地は沖縄県の反対があれば最低でも県外、できたら国外に移設するのが妥当(米国基地を他国におしつけるのは主権の存するところが日本国民であるからには不可能)。この世に確定的未来はない。
根拠は科学にとって信仰の裏づけになるに過ぎない。全科学的認識はどの様な実証的根拠に基づこうと単なる仮説に対する信仰である。
鳩山氏の仮説(CO2地層注入地震説)は彼個人の信仰。他科学者がどんな根拠を集めてきたとしても全科学認識はやはり信仰に留まる。根拠は信仰の真理性を担保しない。或る自然科学的認識も或る根拠に基づく仮説に留まるので、特定の地震原因説を或る根拠群の確度に基づいてより正しいと考えるのもやはり科学的態度ではない。寧ろ進んで当信憑性の高いとされている説を疑い、より正しい仮説を提出し、その実証へ歩めねばならない。
鳩山氏が主張しているのだろう「CO2地層注入地震原因説」を科学的に否定し、他科学者らの同意を得る(それに意味があるかとは別に)には、それ相応の反証的根拠が必要だ。
これと直接の関連があるかとは別に、同じことはメタンハイドレート採掘にあたっての、水圧破砕法などの地震原因説にもあてはまる。これらの仮説を信仰するにあたっての、科学的根拠とされるものは既に多少あれ存在するからだ。
CCS(二酸化炭素の回収・貯蔵Carbon dioxide Capture and Storage)。CCS地震原因説の確度が十分低いという証拠をまだ自分はみいだせていないのに加え、鳩山氏もツイート上で科学的に確実な安全さがない採掘作業の潜在的危険への疑義として述べているのがわかった。この仮説はまだ考慮の余地がある。日本のマスメディア(特に都内の記者クラブ関連)がCCS地震原因説を、寛容さの高い政治思想をもつ鳩山氏へのあてつけとして、当該仮説を否定する科学者らの意見を確証バイアスから集めつつ、臆断でデマ扱いしているのがよくわかった。CCS地震原因説はまだ十分否定することができない科学的見解だ。
北海道が2019年2月23日の災害対策関連会議で示した資料で、鳩山氏のCSS地震原因説を他の流言飛語と混同したのが騒動の原因らしい(産経新聞「鳩山元首相、道警の「デマ」認定に反論ツイート」2/22(金)23:09配信)。鳩山氏は実証的論拠に基づいた対応を北海道警察に要求しているが、道警は北海道(庁?)側からCCS地震原因説をデマ扱いする資料を渡され、それに従っているだけだろうし、専門機関でない警察に科学的研究の能力が十分あるとはいえないのだから、無理な願いというべきだ。道庁側に科学的思考力がない。北海道庁側が研究機関側に十分確認せず、軽率にCCS地震原因説をデマ扱いしたため、それをかぎつけた都内マスメディアが鳩山氏をまるでデマゴーグ扱いで炎上させるよう誤導した。また一般大衆側も科学的批判精神がないので、真剣にCSS地震原因説の信憑性を考えてみようとせず、この炎上に参加した。
鳩山氏CCS地震原因説炎上騒動の原因
1.北海道庁に一定の科学的根拠を尊重する知的風土がない。
2.都内マスメディアは誤導を含む炎上商法をするほど報道倫理がない。
3.日本人の一般大衆は科学的批判精神が足りず群集心理に妄動され易い。
改善策
1.都道府県庁は何らかの科学的仮説を断定的に否定する前に、その根拠を研究機関側に問い合わせる必要がある。
2.都内マスメディアは報道倫理を向上させるため炎上商法の禁止を含む倫理綱領を自主的に制定するべき。
3.日本人大衆に群衆心理の危険や、科学的批判精神を義務教育で訓えるべき。