2019年2月23日

暗号資産は通貨発行権を民営化することで市場を安定させ私有財産を守る思想の革新

通貨発行量に上限がないのは法定通貨(円やドルなど)であり、BTCやXRPなど上限が既定され既に発行済みの特定の暗号資産・仮想通貨ではありません。通貨価値の下落は、実質的に無限の通貨発行権を中央銀行がもつ法定通貨の方が、これらの総流通量が規定されている通貨より、起こりえます。或る通貨の価格変動率(volatility)は、取引総量の流動性に依存(主に正相関)しています。つまり暗号資産の総取引量がふえればふえるほど、価格の変動率は下がることになります。いいかえると、特定の暗号資産は通貨価値の下落が構造的に起き得ないので、安全な資産として投資家に選好されています。
 また暗号資産にはBTC等の非中央集権資産と、XRP等の中央集権資産がありますが、このうち後者の通貨も発行上限が既定されています。法定通貨は過度の通貨発行量を通じた通貨膨張による価値の相対的下落や、政府が中央銀行ごと破綻する債務不履行リスクがあり、これは政府と中央銀行の癒着が原因です。別の言い方をすると、暗号資産は通貨発行権を民営化することにつながる思想の革新を含んでおり、政府・中央銀行による私有財産を目減りさせる計画経済政策に対する反命題として考えられているのです。が中央集権資産のうちXRPは主に銀行間の国際信用として設計されており、法定通貨を否定しません。一方BTCなど非中央集権資産には複数の種類があり、匿名性が高く租税回避を視野に作られた最も無政府的なもの(ADK)から、匿名性がない単なる暗号化された電子通貨(銀行口座と対になるであろう開発中のMUFGコイン)といったものまであります。しかしBTCは私有財産を無政府化する思想に基づいてます。将来的に、通貨発行権は民営化される必然があることは、これまで複数国が財政破綻してきた経験から明らかでしょう。日本政府の国債による債務は事実上単なる税収の範囲で返済できない額に達しているので、革命で破綻しなければ、遠からず日銀を介した増刷による円価の水増しで返済されるでしょう。つまり、日本人(や民間銀行)は日本国債を買い日本政府に資金を貸すことで、その資産の価値をほぼ自動的に下落させていることになります。この様な中央銀行を政府の為に操ろうとする、反国民的な政府による通貨膨張政策を鑑み、洞察力と危機選好度が高い投資家らは安全資産として、暗号資産を視野に入れます。
 上述の様な必然の経過を辿って、近い将来、通貨発行権は各暗号資産を通じ民営化されます。これは歴史の必然があり、非中央集権・中央集権の両方に危険を分散できることもあり、寧ろ政府が管理するより安全で、各国政府が法的に制限しても、インターネット網がある限り逆戻りは不可能と思われます。ブロックチェーンの技術は応用範囲が他にもあるでしょうが、暗号資産については国家がもっていた通貨発行権にまつわる私有財産への不当な介入を避けようという思想の革命、そして価値の不安定な法定通貨を退け、より安全な資産価値が担保される、発行上限のくみこまれた仮想通貨が必要だったのです。例えば著名投資家のウォーレン・バフェットさんは、上述した暗号資産の本質的特性に無知です。従って暗号資産を法定通貨と似た様な物だと勘違いした発言が多いです。重要なのは、暗号資産には通貨発行上限が既定され、ブロックチェーンの信頼中に組み込まれていることです。金地金と同じしくみなのです。高い実用性をもつ暗号資産・仮想通貨は、BCHなど色々開発されているので、単に普及は時間の問題です。寧ろアリペイ・アップルペイ等のスマートフォンを通じた法定通貨による即時決済のしくみは、先駆的に一部の仮想通貨が実現していました。商業上、法定・仮想を問わず決済できる様になるでしょう。投機的な意図で、各通貨の発行初期の価格変動率の高さから鞘抜きしたりとか、株式上場を模したICOでの売りぬけとか、FUDといわれる買い煽りで自身の持つ通貨への資金流入を狙う(株なら違法の風説の流布的)手法が、一部のアフィリエイターらに見られた為、上述の様な歴史的必然性を見逃しがちです。暗号資産・仮想通貨は証券会社の立場から見れば、法定通貨やそれと交換できる各種ポイント(楽天ポイントやTポイント等)と基本的に同じ電子通貨なので、単なる為替に新たな銘柄が付け加わっただけと言え、既に楽天の三木谷社長や藤巻健史議員が主張してきたよう、他金融商品と法制を揃えればよい。