全利的幸福を中庸において追求することが、少なくとも私がこれまでに得た道徳性の正体だ。全利という概念は私が考えたものなので一般的ではない。利己、相利、利他のいずれかを誰かの損失を起こさないよう満たすこと、という概念は抽象思考が苦手な人には伝わりづらいが、私が認識した限りこの生き方が最もよい。
私たちは年をとると人口の中央量塊とずれて行きやすい。だがこの徳を身に着けていれば必ずその生はいずれかの人の幸福を増すだろう。
同時代的相利性の極端な人は商売人として億万長者になっているが、これが唯一の幸福ではない。単なる利己や、単なる利他という種類の幸福もある。相利主義は、単に利己的であるか、単に利他的であるが重要な幸福を失わせてしまう。仕事中毒の人は無感動であり、相利主義にも行き過ぎがあるのだ。