2019年1月27日

漫画家と前衛画家

漫画は商業美術なので実は絵画分野の中ではかなり恵まれていてとりあえず理解者1人は多分いますが、純粋美術の場合ピラミッドの裾野が漫画カーストの50京倍くらい広い上に前衛は生前誰にも理解されない。狂人として精神病院に強制入院させられかけ消耗するし、孤独と極貧の余りとてもよく自殺します。
 死後も永遠に忘れられるのが基本の純粋美術を目指した画家は、自己の内面的表現と、描きたくもない売り絵の間で死ぬほど葛藤し、誰にも理解されない絵が売れるわけないので大概貧しいまま、小金を持った売り絵描きを尻目に自己の理想という妄想と終生格闘し、全人類から無視され死ぬ。強化版カースト。
 漫画家のみんなは私ら自称前衛画家を多分心底ばかにしてるんだろうけど、少なくとも私はただ真剣にすばらしい絵が描きたい、なんとしても見てみたいだけだ。金にならないのは、大概の絵描きに科された全く謎の呪縛だが、絵画カーストは自殺しなければ生ある限り戦えるし、戦い抜く事しかできないのだ。
「売れる漫画・面白いマンガが描きたい」という漫画家らしい欲求と、「誰も見たことがない絵が描きたい・誰もした事がない表現を見てみたい」という前衛画家の欲求というのは、目指すところがだいぶ違うけど、カーストの中でもがいているのは似てると思う。ただお金は僕らのが無いしより孤独だと思う。