2010年9月30日

虫の声

ぽっかりと浮かんだお月様
やがてはおちてくるのかしら
もしこの世からきえていく
すべてのこまやかな命が
こめられた小さな
星のめぐりゆきですら
ただいたずらにきえゆくもの
だからしずかに耳をすませるといい
うそつきの王様にたかる
かぞえきれない虫の波打つおと
どうせすべてがきえさったら
その城にはあとかたもない
あのお月様の声に耳を傾けてみなさい
夜ふかくに
自動車を停めている空き地
昔そこには薄の原っぱがあった
多くの命をはぐくむ小さなすきま
秋雨はやさしくおおつちを打つ
政治屋がでてきた
そいつらはよりあつまりわるさをたくらむ
金をかきあつめて自動車にかえた
排気ガスの道路を満足気に眺める独裁者
その空き地はいまではアスファルトで固められ
コンクリートの重たい車輪留めしかない
きえてしまった殿様ばったは何を見る
くだらない倭人のすみかだ
もし天罰がくだるなら
こいつらの他にいない
すべてを金にかえて
世界中で漫画をよみあさるこがね虫
おっかしい
なんでこんなへんちくりんなの
背のちぢんだかねあさり虫
どこへいっても発情ばっかりしてる
みにくい姿をかくす場所もなく
その石づめの巣にすまってる
人差し指でぴんしてご覧
こいつらみじめな倭人がふきとぶよ
どこからあつまってきたんだろ
あつまるほどきたないふえちゃう虫
そいつらはテレビでなにを言ってる
どうせ虫の声なんだ