2010年3月25日

熱孤島俳諧連句

春めきて不意に咲きゐる菜花の黄
長袖は既に長けり待合の
子供らのはしゃぐ声する庭の咲く
吾のみは冬恋しけり熱孤島
東京はぬるくてたまらぬ石のまち
春の香に道端ゆくぞiPhoneは
久方に聴けば夏を貸すL’Arc
浮き立てるダックスフントの眼あり
われ覚ゆ前に咲きゐる桜花
大まかな味の武蔵の菜の疎ら
いつかみし清瀬の流れに浮くみつき
みわたせど特に変わらぬ春のそら
だからヤダゆすりか多き京川
冬子の目へとひらかれしUNIQLOだ
ことしから秋篠くるぞあの辺り
どうでもいゝとかくうるさきものは春
発情期なのはわかったアルタ前
人ぎらいな梅がなおよき後楽園
ビヾアン・スーしかきよげなしボウフラ界
意図もなく流水ありき桜花
月交番跡形もないやこのはるは
レディへと冷めた空気のつゝじヶ丘
麹町みわたす富士と暁よ
かわりなきものは我のみ散るさくら
おにぎりと高尾山とはると広末
空を飛ぶ飛行機からの春風よ
冬眠中のくまあり溶ける雪焼けと
わがきらふきたなき國へも公転ぞ
救いあるなし溺れる鴨とか小鳩か
枯れ木ほか見えるものなき時のよし
ひばりあり魅せる踊りは小気味よき
冬用のコーヒーは減りて頃合いか