そのひとは俺は偉いんだぞうと思った
そしてそのふりをしていたら
いつの間にか皆が平伏す様になった
だからそのひとは偉いんだと思っていた
昔そのひとは大きな家に生まれた
その土地は豊かで幾らでもお米が実った
そのひとは争いを鎮めながら何代もかけて
そういう大きな家を築いていった
遠く時代が過ぎて
大都会のまんなかにそのひとの家はあった
僕はそんなことは全然しらない遠い土地から
やってきてそのひとがどういうひとかをよく見た
けど僕にはそのひとが
どちらかというとあまりよくないひとに見えた
余ったものを分けてあげさえすれば
あの橋の下の家のない人はもっと優しくされたろうに