2010年1月14日

社会学

人為的につくられた適所はそれらが不自然な形態で成立すればするほど維持費分の労力の多さのためにかなりはやく衰退か撤去され易い。都市化の維持費は同様の結論を導く。従って人為系としての都市文化はほぼつねに経済適所だと考えるのが合理。もし社会場の性質を各種の適所について分析すると、都市文化は唯一の適所では毛頭ない。それは経済適所の一形態で、しかもより詳細には宅地、工業用地、金融業務地、商店街、郊外型開発地、事務所地、研究所地、交通要所、港町、通過地帯などに分けうる。経済活動つまり商業はそれらの重複化を加速する系。仮に商業をこの重複機能のみに着目して分類すると、そこにはおよそ上述の機能群の時間と空間に及ぶ改変経過のみある。
 自然な適所の変化は、それが既存の熱力学速度にしたがう限りでゆるい場合が多い。但し、一部の河川や湾岸や火口に不定期な自然現象で大幅な環境異変がみこまれる所は除く。この例外には人為系は微視的。自然適所への最小の加工としての人為系は遊牧か採集で、これを更に集積し法則づけると農耕か栽培となる。これらの更なる集積は、都市化を除き、培養か食品の適所を誘う。ここで、これらを最小の人為から現在および近い将来にみられる全ての加工をみこんで産業系とする。
S=Ap log eの文化対数は集積すべき地帯生産性をその値の底とする。ゆえ上述の偏差は一般にごく短い期間に両極端に進み易い。芸術適所というべき、産業や野趣に傾かない地帯の希少さはこうして説明できる。そこには何らかの人為か自然の誘因で、文化対数への逆数が働く。おそらく多くの場合は都市化または人為系への潜在(心理的)か顕在した気候要因がその多分には良い意味での妨げとなっているだろう。天才と我々がよぶまれな生得形質のもちぬしは、その生態発生の系統についてこの文化対数への逆数比例が多少あれ働いたらしい。
 もしスチュアート・ミルにならって独創性を天才の特質だと定義すると、既存の文化素への突然変異の編入をその最も有効な改良法則比だと考えて、文化逆数: 1/Sは最も原理的な生活改良の法則素だとのべていい。より日常言語に近い形に翻訳すると、この都市化や産業系は生活改良の最も合理的な方針だとは考えられない。寧ろそれらの割合が自然適所が用意する文化対数の偏りに逆らって法則化されるほど、生得形質すなわち天性への淘汰圧はより独創性を育む方へ導かれる。文化場理論の実質の帰結とはこのより分業制を加速づける様な独創性へつながる突然変異を、かなり安定した母系としての群生(一政府のもとにある国家と称されるのが通常だが)へできるだけ多彩によびこむのが文明化の核心だということ。