2009年8月17日

熱帯魚

人生では少なくない矛盾がある
時にそれは幸運のあやまちか
若しくはかなしみの川底へながしてしまった
涙の様な想い出かもしれない
どちらにせよ人は
やがて歳老いて死んでしまう
あなたは墓場を見るだろう
物の怪かなにかその辺の魑魅魍魎が
あなたを捕まえに来るかどうか
或いは天使の列が立派な寝台列車で
エスコートしてくれるか分からないけど
兎にも角にも土は元通りに還って行く
海が何もかもを包みこみ
そういう故事さえなかったことにするのだとして
それが何だというのだ
都会で行き交う幾多の俗物が
なにかめずらしい真理でも持っていると信じているのか
当たり前のことだが
そんな宝物は滅多にない
そしてどこもかしこも有名人が渉猟した
カントリークラブみたいにただ平坦でしかないのに
そこに神の奇跡でも見たかったの
陸でもない人間どもの吠えたぎる
谷底で見たのは野蛮な集会でした
そこでは意味不明な文句を叫び
異国人みたいに髪を染めて金属を引っ掻きちらす
どうでもいい悪魔が中途半端にわるぶっていた
社会とはそういう所だ
根本的に云って
この世で完璧な理想を見られる日など来るまい
それはただ過ぎ去りし灯籠の舟みたいに
すでに旅立ってしまった精神が夢の合間で眺めた
光景なので
眠りから覚めれば
夢をみていたことさえ定かではない
まるで水槽のなかの熱帯魚の様に