人生では少なくない矛盾がある
時にそれは幸運のあやまちか
若しくはかなしみの川底へながしてしまった
涙の様な想い出かもしれない
どちらにせよ人は
やがて歳老いて死んでしまう
あなたは墓場を見るだろう
物の怪かなにかその辺の魑魅魍魎が
あなたを捕まえに来るかどうか
或いは天使の列が立派な寝台列車で
エスコートしてくれるか分からないけど
兎にも角にも土は元通りに還って行く
海が何もかもを包みこみ
そういう故事さえなかったことにするのだとして
それが何だというのだ
都会で行き交う幾多の俗物が
なにかめずらしい真理でも持っていると信じているのか
当たり前のことだが
そんな宝物は滅多にない
そしてどこもかしこも有名人が渉猟した
カントリークラブみたいにただ平坦でしかないのに
そこに神の奇跡でも見たかったの
陸でもない人間どもの吠えたぎる
谷底で見たのは野蛮な集会でした
そこでは意味不明な文句を叫び
異国人みたいに髪を染めて金属を引っ掻きちらす
どうでもいい悪魔が中途半端にわるぶっていた
社会とはそういう所だ
根本的に云って
この世で完璧な理想を見られる日など来るまい
それはただ過ぎ去りし灯籠の舟みたいに
すでに旅立ってしまった精神が夢の合間で眺めた
光景なので
眠りから覚めれば
夢をみていたことさえ定かではない
まるで水槽のなかの熱帯魚の様に