大昔、世界になにもつくられていなかった頃、人々はなにも見なかった。しかし多くの舞台が築かれることで、かえってかれらは夢を見る様になった。それらはどれも嘘で塗り固められたまやかしだったが、だれも気にしなかった。毎日は重くなり、やがてうその方が本当になった。その証拠に、人々は世界を夢空言だと考えていた。そしてどこかちがう世界で起きているものの様にテレビの中で大きな体の人間たちが殺し合うのを愉しみに眺めていた。放送局のアナウンサーは言った。
「もうすぐ千人斬りになります」
かれらは大笑いでその試合を眺めていた。中国大陸で殺戮を続けて行く偉ぶった軍人。血潮にまみれて、武断を誇っているおろかな演技者。そして最前線で首を撥ねられ、英雄視されてよろこんでいる。
僕は日立のヨーカ堂から出てくると、街あいがおかしいのに気づく。そこでは人間たちが何事もなかった様にあそびたのしんでいる。だが、現実にはその演者らは日々を殺戮で暮らしているのだ。花屋を通り過ぎ、駐車場のところで猫をみかける。いつもいる猫だ。三毛なので分かる。既に終わってしまった戦争をかえりみない人達がいる。だが、現実にはそれは今ここで起きていることなのだ。野蛮人が政治家をきどり、あらゆる武器を横領し、いつも片手に君らを脅しながら豪遊のための税金を絞り上げる理由を問うがいい。やつら人間の屑はその金できみらを騙し、戦争させ、みずからの手を汚さない勝利で名誉を奪い、負けてもともとの敗退で姿をくらますだけのごみなのだ。人の中でそんなごみ虫が生きているとはだれも思わない。だが政治家とは人の中のごみなのだ。
僕は千人斬りを命じた者の子孫が、天皇家と自分を呼び、人間から金を奪いながらあらゆる贅沢とあらゆる悪徳を尽くすのを見た。その俗物は原爆で人々を焼き殺し、沖縄人を自殺させ、挙げ句には朕は戦争には反対だったと言って自分だけは殺されなかった。しかし、僕はやつが実際にあれだけの数の中国人をまったく無意味に虐殺させたのを見たのだ。自称天皇はたしかに、気が狂った頭で自分自身を神だと詐称し、その悪魔そのものとしかいいがたい命令をおのれの配下に置いた日本人へ下した。まるで映画の様に。