2009年4月9日

文化上の特殊命題の一考察

日本風土の神妙に移り変わる季節性の珍しさはその文化での収穫物を著しく特殊化してあらわす。この点で、日本の風物はそれが先進的な時は独創として、後進的な時は奇形として評価・表象されるものとなる。或いはそうであらざるをえない。

 この為、本の郷士のつとめはその文化のつねなる文明化を必須命題とすることになるだろう。いわば意図の有無に関わらず恒に風変わりな習性を余儀なくする国土の性質の上にあってはその他国の習慣との適合を絶えざる宿命とする。我らは努力して開明的でなければならない。そして奇形さよりは独創性の方が栄誉の表彰であるからには、絶えず自ら先駆けてある為に学問を、特に科学の民度をいずれどの国風よりも我々は贔屓目に見る必要があると云える。というにも、非科学的な独創はおよそ趣味の産物であって、たとえば茶の湯の如く数寄者に愛好されはすれ社会基盤に共通化が行われない万人からの尊敬を受けること希である。