量子転移の物理条件は光速の謎を解く最も有力な思想株式らしく見える。我々は光に原則的上限がある訳を自然学の体系上、確実には知らなかった。
アリストテレス以来、度あるごとに無という非物理的な仮定を要する問題に直面する人類が苦肉の策としてもちだしてくる真空という理想化状態は、ダ・ヴィンチでも精神作用の理由をそこへ仮説づけて慰めを得たが、空間的な移動を情報の「後を濁さない」交換というほぼ極限の瞬間に等しい条件下に各種の化学反応系をくみこむ工夫で解決され易くなるらしい。
工学への落とし込みを見れば、情報伝達の光速化と、その拡大化としての空間の移転が、おそらく非常に長い天文学的距離をほぼ瞬時に移動させる宇宙エレベーターの実現として、可能になる日が来るだろう。この面で、経済効果のフィードバックを要請する工科系大学では、今日に於いて量子論の徹底した突き詰めは決して流行の素材ではないと知ることになるだろう。
有名な反・量子論者としてのアインシュタインの勘違いの原因は微視的論理を巨視で解決しようとした、視野の広すぎる空想癖にあったとも考えられる。遠慮なくその権威の肩をのりこえていくしか科学の前進はない。