2008年8月27日

都市部の自治策

単身者世帯の増加した都会の住宅地にあって、彼等個々の家を越えた共同体を誘発するには「神社」を造り直すのが恰好であるだろう。同じ象徴の権威を担ぎ上げることによって仲間意識が芽生えるのはまつりごとの基本と言える。或いは、「教会」や「寺院」を、イスラムを考慮すれば偶像を有しない「拝堂」をもこの許可に加えられる。
 中~大規模の再開発が各都市で頻繁に行われる様になれば、その副産物として時勢の移り変わりに伴う荒廃もまた甚だしくなろう。ニュータウンの近い現状にある如く、世代交代に伴うplasticityすなわち粘りを考慮していない計画地は一挙、過疎地になってしまうだろう。
 魅力ある都市への若年人口流入の副作用としての、これらの住宅街のスラム化を防ぐ最善の策は、社寺教会の多産である。我々は戦火を避けて残る下町の隅々に祭壇や地蔵が設らえられていた理由を、いわゆる下町人情という賢明な共生型理念に思い遣ることができる。
 然るに一部の区で行われ出している単身者向けアパートの規制は却ってその周辺領域に向けて通勤ラッシュを激化させるに過ぎず、都市部の夜間空洞化および乱雑な商業地区化につながり、延いてはその居住世帯の活気や快適さ、ないし風情をも失うに到るだろう。