2007年3月25日

隠士

夢から覚めたらすべては救われる、と信じる他ない。人生以上の悪夢を我々は二度と知らない、誰にあれ。快楽機械ども。知能が由来するのはこの夢見装置を増設する計画に違うまい。かのおろかしい計画は生存と呼ばれた。閉じ込められた魂の牢獄で羽ばたく命が明滅する理由には、只、自由労働の幸福しかない。耐える事。哺乳類の型を一つ残らず憶える事。科学教を哲学し続ける芸能に適応するほど、人間と言われる自己矛盾を破格する修辞を創造しておけ。およそ雌雄の別以上に自然が与えた悲惨は人知に無かった。釣り合うものは対になっている、と仮定する。しかし神と釣り合う獣、それが人間における性別ならば私にはどうして個性が与えられたのか。人間に用はない。もし君が相対知能に優れた個体なら個体であるほどそうだろう。人間は獣の家畜場を意味する。社会的自由には畜生同類の低能を毀誉褒貶する為の土壌しかない。隠者が世を憂える理念に無感覚な民族に同情する余地はない。漱石曰く同類間には多大な差なし、と。それは無能専用の諺と呼ばれるべし。若し君に感覚あらば、できる限りで同類から身を退けるに如くなし。奴らと関われば関わるほど堕落する。