2006年11月3日

軽い小説

一条の光が射す宵の都会にいる。月明かりだ。地上にはどこへともなく流れる自動車のヘッドライトが赤青黄、色とりどりの点々を抽出している。
 老若男女が入り乱れる風景のどこかに、君は紛れ込んでいる。ゆっくり推移していく時代はやがて、命を飲み込んでしまう。
 君は延々と列なる人波を眺めている。個性にはそれぞれの物語がある。そして語られざる想いを秘めて亡くなってしまうだろう。どんな予告もなく。