2006年6月7日

文芸と哲学の間

文芸は思想を美化して伝播する手法でありうるが故、しばし哲学的文章の境目を問われなければならなくなる。だが両者の釈然としない由は自体が利点でもある。両者の混在化した哲学の文、つまり随筆が思想に対する文化的理解ゆえ。しかし、最終的な結論は一つの場所に戻る。文芸は道具ではない。それは言葉の芸術であるから、科学をも含む哲学的観想により掘り起こされた思想を美術的に利用する。
 哲学と文芸とは出会いながら不即不離に共生していく運命にある。尤も遠からず両者の特性の違いは哲学の論理と文芸の比喩性によって明らかにされるだろう。文明とは翻訳上直観的に選択された語義自体に従えばとりもなおさずこの謂いなのだが。