2024年4月15日

史学教育の全体と詳細をめぐる一般教養と研究段階論

高校世界史・日本史までの暗記科目的知識は史学全体の基礎にすぎず、それらを知らずにいて、更にそれら個別の事件・人物やそれらの隙間にこぼれおちている史実の詳細について、過去の解釈の誤りや、新発見を通して研究を深めていく事は、それなりに難しい。
 例えば新撰組初代筆頭組長の芹沢鴨は水戸学で知られる常陸国出身で有栖川宮家へ仕官した通り尊王派だったが、武蔵国出身の近藤勇らが彼を暗殺後の新選組は明治天皇を擁した皇軍へ恭順しないなど、必ずしもそうではなかった。この史実詳細を19世紀の世界史や江戸時代、水戸学自体を知らず研究は難しい。

 茂木健一郎氏は基礎段階で躓いているので、基礎をやり直す事なく、詳細についても研究できると思い込んでいるが、細部をやる前に全体像を知っておくべきだ、とする現行の高校までの史学のやりかたは、必ずしも間違いとはいえない。途中で挫折しても一般教養としての概略は知っている状態になるからだ。
 例えば関良基氏は北畑淳也氏の動画で五か国条約を日本政府(江戸幕府)へ押しつけた欧米諸国が凡そ一律に公平貿易を目的にきていた、よって攘夷派は唯の赤色恐怖主義者と思い込んでいたが、これは大航海時代や植民地主義についてまず無知だからだ。世界史を知らずに、幕末の侍の危機意識を理解できない。