2024年1月15日

東洋の理想郷

茨城は世界一魅力的な都道府県だ。どこもかしこも美しい所ばかりで、出歩くたび、私はいつも圧倒されている。殊に北茨城の綺麗さは圧倒的で、まるで全てが名画だ。
 しかし、これらは重大な秘密で、我々市民の間ですら大っぴらに宣伝されず、不器用な謙遜の奥に隠されている。観光公害が全てを台無しにしてしまう、と我々は知っているからだ。

 ただ、真実を知った人で、近代東洋美学の第一人者といいうるであろう岡倉天心も、嘗てこの地に日本美術院を移転し、また自らも弟子らと共に隠れ棲んだのである。その隠者らの中に、のち、わが国最初の文化勲章受章者の一人になった、近代日本画の巨匠・横山大観が居たのは、決して偶然ではない。
 彼ら五浦派は「東洋のバルビゾン」と称し、東洋美学の理想郷である芸術家村を、彼らがそうと信じうる最美の地に、自ら作ろうとしたのだったからだ。