全ては幻想
そうだとわかっていても
なおあなたはうつくしく
たとえ夜がどれほど深くとも
その深みよりも深い瑠璃色をしている
もし世界と呼ばれるまぼろしがさめて
のこったのが虚無だけでも
なおあなたはいつくしく
たとえ血がどれほど赤くとも
その赤みよりも赤いルビーレッドにみえる
信じられないほど多くの配色のなかから
あなた自身を十分表すに足る色見本はなく
さもすべての絵の具をあつめ真っ黒になった
無彩色の抽象画よりも階調高く
信じうることといえばその無限の心のなかから
ひとつだけで全部といえる真実をみいだし
あなたのために自分が一幅の絵にしたてる事
もしすべてがつくりごとで
失われゆく途中の過程にすぎなくとも
あなただけの真実をひきだし
自分にとって最高の美だと証明したい