2023年7月30日

絶滅すべき種

僕はたまたま悪い人しかいない国に産まれた。その為、ずっとこの上なく孤独で、誰一人仲間と言える人はいなかった。世界史の中には、あるときその様なことがあるのだろう。確かに自分にとって周囲の全人間が悪人でしかないので誰とも関われないのだった。
 人々の悪徳ぶりや愚昧ぶりは明らかだった。彼らは僕を含む全ての人々を虐げ続けて少しも恥じる気配がない。また、あらゆる悪意で、邪悪な文物をまき、それを褒めて喜んでいた。彼らはその様な蛮行になれていて、群れることで自己正当化を図っていた。
 あるとき僕は一人の少女としりあいになった。この人もまた、ひどく世の中から虐げられていたというので、自分は必死に助けた。彼女は少しは善良で、あるいは根は善良におもえた。だが11年後、この人は突然大発狂して姦淫行為をし、音信不通となった。やはり、ただの一人も善人などはいないのだった。最も善く思えた人すら最悪級なら他は言うまでもない。人間という生物は悟った人がいうよう絶滅すべき種なのだ。