少し古い写真というだけで、人はそこに生活様式の差を見分ける。建築、衣服や化粧のしかたなど、一般社会ではおどろくほど急激にかわっていく。この差は時と場が離れるほどより、拡大しやすい。われらが昔の絵をみて、それを当時の人々が美人画だとおもっていたと信じられなくなるのはこのためである。 人の美意識は通常、同時代の常識となっている生活様式からひどくつよい影響をうけているので、この枠組みを外して物をみれないひとは、少しときがすぎただけで急に古びるはやり姿でいることに自覚できない。