2021年8月14日

なにゆえ現実の感染爆発へ人流増で力を貸したコロナ禍五輪が反対多数にも関わらず都民の間で強行されたか、その分析と対策

茂木健一郎氏のよう主として神経生理学系の理学博士で、大学教授のほか芸能活動、各種講演会、物書きなどを並行でしている人物、また国際政治学を専攻した三浦瑠璃氏のよう血の費用論で良心兵役拒否権をぬきに戦前退行の皆兵令を唱えるほど武力放棄的な反戦そのものに多数派市民への性悪説的解釈から疑いの証拠集めをする国権論者らは、コロナ禍東京五輪下で現に感染爆発があった事について、それを示す証拠なしに五輪と感染拡大の相関は寧ろ低いほとんど関係がない(両者とも茂木氏の弁)、或いは政治側のびびり(三浦氏の弁)などと散々ごねてきている。
 しかし実際に、読売新聞が示すところが確かならば、携帯電話の位置情報から滞在人口を推計するNTTドコモの「モバイル空間統計」データをもとに、2021年8月1日午後3時台の都内主要駅周辺の人出を4連休最終日だった前週日曜日(同年7月25日)と比較すれば、五輪会場付近での人流増があったのが事実であり*1、人々が密になる機会と感染増には有意な一般的正相関があるので(故に都市部の方が田園部より人口あたり感染率が高い)、上記二者の論理は既に反証され破綻しているというべきなのである。

 ではなにゆえかれらが、一方は理学、一方は法学の博士を得るまでの自然・または社会科学的な学習歴をもちながらも、両者とも確証偏見というべきご都合主義の論旨に有利な証拠ばかりを集め、それと矛盾したかれらのくらす都内で感染爆発がつづく悲惨な現実から目をふさいでいるかだが、端的にいえばかれらは元々批判的思考力が低いか、さもなければ十分思考停止しているのに加え、それにもまして、なんらかの政治・観念論(ここでは観念論はドイツ語Ideologieの訳語。以下、しばしば直訳で形学、かたちガク・ケイガクとも表記)が、かれらの科学的批判能力を超え、かれらの言動を心術的に操って左右しているというべきであろう。
 かれら個々人の単なるサイコパシー(精神病質性)で事を片付けるには、同様の五輪強行派勢力の規模があまりに大な事例というべきだ。つまり、そこには集団浅慮が明らかに介在している。

 この種の政治観念論によって現実否定に回る思考停止状態を、一般化すれば否認主義となる。既に心理学でいう正常性偏見から過度の楽観におちいった場合を引用し、五輪強行時の前半で認知不協和を指摘していた原田隆之氏の様な人物がいた。

 今は『楽観バイアス』があり、コロナの怖さを訴えても不安を持たなくなっていて、自粛してくださいとことばでメッセージを出し続けても効果がない。
 休業などの対策にインセンティブを与えたり、行動を物理的に制限したりと、長期戦を見据えて、感染症の問題だけでなく、人間の心理と行動の傾向を加味した対策がより重要になってくる。
――原田隆之(臨床心理学が専門の筑波大教授)

「五輪で『楽観バイアス』 緊急事態宣言 意味なさなく」専門家 2021-07-28 午後 05:38 NHK news

 かれら強行派のなかで資料分析による会場付近での人流増の事実を否定に回っていた非科学論者らは端的にこの種の楽観へ片寄った正常性偏見によって、組織委の計算野村総研の予想によれば赤字かよくてトントン(差し引き0)となることが確定している上に開催直前まで国内外で反対多数*2の2020年(実行時2021年)東京五輪を、何とか強行で終わらせるか、さもなければ強行したがる都政、自民党、組織委、IOC・IPCや選手らを擁護・正当化したがっていた。なおかつ会場付近で特に増える人手を都外でも感染者がふえているなどと余りに通らない言い訳で弁護し、しばしば明らかに日本より新型コロナウィルスでの感染・死亡率が高い欧米各国のワクチン接種への過信ぶりを実例としても甚だ誤った場面で持ち出しながら、実質的な都内高齢者らへの大量虐殺のすさまじく悪意ある行政儀式へ過失致死罪としかいいようがない形で、進んで加担していたのである。

 この種の無理やりの擁護、ネット俗語でいう「アクロバティック擁護」仕草は、以前からネット右翼界隈では頻発してきている。それと同次元の事を、ごく一部の出先機関を除く主要なすべての省庁、国会、皇室の併存する東京文化内で培養されたともいいうる東大閥の東京圏ネット・テレビ論客連中も重ねて、あまたしているのがいまなお変わらない現場の事実である。いいかえれば、これら強行派に属する正常性偏見を広めたがる人々は、それぞれの真意が商売、妄信、当人達の錯誤、愚劣さ、正義と称する悪意など、一体どこにあるかとは別に、安倍政権時に縁故主義的利権を目的に、保守の名目で無数に現れた御用学者と同等の振る舞いを、進んで買って出てしているのである。

 彼らの実態が、事実への健全な懐疑精神を放逐しているという意味で、非科学的、非反証的なのはいうまでもなく、仮になんらかの疑似科学の体裁をとるとしても、当人達の信じたがるなんらかの政治意志にひきつけ、現に起きている社会的・物質的現象の一側面について、政治的目的を含意した自説を補強する形でしか、科学の知見がまず使われないのが、この政治観念論者らの犯している既知のよくみられる過ちである。しかもかれらは事実としての社会・物質現象自体が或る政治観念論上の目的と違和している時、それらのデータ(資料)を隠したり、改竄したり、不都合な反証を打ち捨てて科学自体を、単なるかれら自身の理想上の思念である政治的願望で上書きしようとする。これが日本学術会議の任命拒否問題とか、五輪開催前ラムダ株隠蔽事件事件を報じる週刊誌記事アーカイブその後、別の報道では政府も認めた事実と判明アーカイブ)とかがつぎつぎと今の国政から出てくる構造的しくみである。

 もし我々がかれら弱知化した政治観念論者としてのコロナ禍五輪・強行派・都民らを反面教師として用いうるなら、第一に、我々は科学的分析をおこなう際にすべての前提を省いて、事実を事実として厳密に見定める実証性のもとで絶えず反証主義的――或る命題を否定できる命題を作りえ、なおかつそこで実験的な事実に反するものを、事実である事と峻別しうる思想的――な態度を確保していなければならない。また我々は、既知の事実として知られていた資料や知見を否定する根拠が現れた際、さきの資料や知見に基づいて作られていた政治的構想や体制自体を、たとえそれがどれほど大層な作業になろうと、最も合理的なやりかたで我々は必ずやおおかれすくなかれ再編成しなおさねばならないのである。
 資料改竄による事実のごまかしが刑法17章文書偽造の罪について安倍晋三被疑者(未公訴)の元で当人および側近らにはびこる原因は、この種の事実分析への冷静な態度が、かれの独裁権力または独裁院政権力の前でほとんど完全に打ち捨てられてしまっている点にある。そしてその種の悪習がサブカルチャー(副文化)稼業で弱知化させた民衆の間で僭主や寡頭党閥あるいは衆愚的多数への妄信的崇拝として一般にはびこると、組織的腐敗の最終段階として、今の東京都のよう知識層までもが観念論を優先させ事実を隠す資料の恣意的引用等による科学的虚偽の弁によるごまかしなど研究倫理を崩壊させ、あるいは人道的不正に公然と手を染める事になる。現実の方を当人達の形学でいかに歪めようとしても無理なのだから、結局これらの観念論者らは敗北主義に陥り、社会の表から退陣していくだろう。だがそのごまかしが信者らの間で通用するかぎりかれらは、自らの観念論上の教えを他人へ信じ込ませようとし、実際、これに成功した領域ではコロナ禍五輪強行の様な総じて人でなしの無差別大量虐殺の類、すなわち公然とした人道犯罪まで、暴徒同類で群れ打って実行しえてしまったのである。

―――

*1
2021年8月2日の読売新聞オンライン記事『都内週末の人出、五輪会場周辺では3割以上増加…緊急事態宣言の効果発揮されず』
による。アーカイブ

*2
読売:中止48% 無観客26% 制限24%
https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20210606-OYT1T50178/
毎日:無観客31% 中止30% 延期12% 
https://mainichi.jp/articles/20210619/k00/00m/010/137000c
朝日:中止33% 延期27% 無観客24% 観客制限14%
https://www.asahi.com/articles/ASP6W6GC1P6WUTIL018.html
NHK:制限32% 中止31% 無観客29% 有観客3%
https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukiyuji/20210615-00243168

産経FNN合同世論調査(2021年6月):
無観客35% 制限33% 中止30%
https://www.sankei.com/article/20210621-UMVZ3XEWDNL25HTMXEEAWVDDJI/?outputType=theme_tokyo2020

同調査(2021年7月):
無観客が妥当39% 中止すべき35% 観客制限すべき24%
(五輪が楽しみでない49% 楽しみ47%)
https://www.sankei.com/article/20210719-GH5V6PBKFBJNDCOLUGCKGBMX4A/

オリコン:延期・中止69% (選手を応援したい86% コロナ拡大後楽しみでない60%)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef1d382bfbf258bd03bd6f26ec18660848aa04b1

国外世論
イプソス(28国):反対57% 賛成43%
https://nordot.app/787869023439159296

新聞通信調査会(5国):中止・延期70%超 
https://www.jiji.com/sp/article?k=2021041400657&g=soc

KekstCNC(6国):
日 反対56%(最多)
英 反対55%(最多)
独 反対52%(最多)
瑞 反対46%(最多)
仏 反対37%(最多)
米 反対33%・賛成33%
https://nippon.com/ja/japan-data/