2021年6月22日

からっぽの傷あと

もし宇宙がおわって
大都会の真ん中に
君ひとりのこされていたら
君はもうなにもおもわず
ただの墓場のよう眠りにつくだろう
もし世界にひとりだけでも
この星が孤立していて
そのなかでだれも仲間がいなくて
ひとりぼっちのままでも
ひとしく街には眠りがやってくる
この文明にもおわりがくる
あの王様もお姫様も
なかみはからっぽ
音もなく崩れ去り
あとにのこったのはからっぽの傷あと
そして君がいた記憶さえ
もうだれもおぼえてはいない
大地は静かに眠りにつき
廃墟を大雨がぬらしている
もうこの世にはだれもいない