そこに何もおちていない
ありうるのは夢
そして人の死体
死人達の羅列
だが一つだけでも僕は見つける
なにも失われえない
ありうるのがまこと
死んでいくものどものあいだ
ありうるのは理想
言葉一つになりもしない
無限の豊かさの上で戯れる輝く色彩
そして心の救い
生まれてきた事
今広がっていく海のただ中に
天空に輝く星々の一粒に
騒いでいる草原の草花のつぼみの一つずつに
宿っている命が夜風に吹かれ謳う物語に
あなたは歩みを進めている
恰も残された時間だけが永遠に今を繰り返し
つぶらな瞳の子犬だけが
終わらない世界の証言者かの如く
この果てしない大海原の真上に浮かぶ月が
あなたの示す目あてへの海図かの如く
そこに落ちていた一つの鍵を拾い上げ
ありうるのは希望
そして人の自由
聖者達の行進
数限りない嘘の霧は晴れ
ありうるのがまこと
消えゆく意識の中でみた魔法
淀みなく流れ断ち消える事のない喜び
そして水面の映す無限に鮮やかな波のきらめき