もしきみのみているすべてが
さもまぼろしであったなら
そこにはなにもない
僕の生きている世界も
そこにはなにもない
だからこの手にのせられた花束も
あの言葉のなかに込められた愛も
のどから手が出ないほど欲しくない
すべてのまぼろし
もしきみのみていたすべてが
さもまぼろしであったなら
そこにはゆめもない
きみの生きている世界も
そこにはゆめもない
だからこの足がふんできた地面も
あの魔法のなかに込められた恋も
目がとびでないほど珍しくない
すべてのまぼろし
もしきみのしっているすべてが
さもまぼろしであったなら
この世に広げられたレジャーシート
そのうえで営まれるおひるゴハン
消えていった記憶のなかに
すべてのまぼろし