2020年1月12日

安倍が悪いのは悪いが左派も劣化してる

凡そ現代社会の大きな構図は、多極主義と資本の戦いなのかなと思う。
 トランプを田中さかい氏は「隠れ多極主義」と呼んでるが、要は加速主義者なんだろう。かれは資本の運動を純粋に突き詰めてるだけなんだけど、それを政治化すると、表向き国士ぽい覇権壊乱者になる。
 結局は資本が勝つのだろう。

 多極主義の弱点は、そもそも資本運動に依拠してしか成立しない経済のしくみ、つまり市場を使ってるのに、無理やり覇権を崩そうとするところだろう。だが反動としてはつねに各国政府の調整が入るので、資本の側が完全に自由になることはない。リバタリアンが無国籍にくらせない様に。

 柄谷行人は資本運動に生協(協会)主義で対抗できる、としたわけだけど、どう考えても巨視的なカネの動きを全て、生協が吸収できるわけないでしょ。生協自体は残るかもしれないけど、もとが営利追求してないんだから資本を解体するほど巨大になる事もない。
 今日の左派の無力は柄谷の責任も大きい。
 現実的にウェッブ夫妻みたいな解法を出し、社民政権を樹立させた北欧圏に比べ、日本は竹中平蔵が米国からもってきた新自由主義な格差社会に流れてしまったのは、柄谷ら僕よりずっと上の年齢の左派が理論的に無力だったからでしょ。
 そのせいで子供ほどますます安倍万歳で公共心劣化してんだから。

 もっと大きくみると、多極主義に基づいて、米国から独立を取り戻せとか、多国籍企業からも税金とれとか、タックスヘイブンしてる金持ちにちゃんと課税しろとか、企業献金やめろとか、経団連解体しろとか、現実的に革新できる方法がみいだせるのに、なぜそれを左派は進んでやろうとしないのか?
 格差社会は極悪だ、アメリカの数人の大金持ちが貧民全員と同じだけカネもってるのは新自由主義の失敗だとか、アベノミクスは実質賃金あがらず大企業だけ蓄財した大失敗だったんだから法人税をちゃんとあげろとか、消費税あげるなら庶民の日用品は無税にしろとか、戦略的に自民党を潰せる喧伝あるのに。

 結局そうみると、安倍信者が邪悪なのもあるが、左派知識人のほうも、政略面でも巨視的な政治学面でも、大分劣ってしまっているのが事実では? 北欧ウラヤマじゃなくて、向こうの社民系の実地から徹底して学ぶべきではなかろうか?
 大きくみて資本が勝利するとしても途中経過が悲惨なのはよくない。