2020年1月9日

スレイマニ暗殺を受けた自衛隊の中東派遣は止めるか早期撤退が望ましい

トランプと英仏独の首相らの何が間違っているかなら、彼らは『コーラン』の基本教義すらきちんと学んでいないので、自文化中心に考えており、イスラム戦士への先制攻撃は聖戦を招くと自覚していない。欧米人なら合理的判断で死を恐れ、より強い米軍相手に軍を引く、中東もそうだと考えてしまっている。
 イスラム教義で聖戦は死を賭した特攻を含むのだし、先に攻撃してきた相手は遠慮なく殺害せよとムハンムドに啓示されているのだから、少なくとも原理主義に近い人達からみれば、米軍と有志連合は全員が第一の報復対象となって然るべきである。
 ムハンムドは中世当時の混乱期に「多神教徒」「異教徒」と差異化したみずからの絶対唯一神を奉る宗教で、中東一帯の政治的覇権を握った。報復後に相手が反撃してこない様なら許してやれとか、多神教徒は殺してもよいがひっ捕らえてコーラン読み聞かせろ、改宗させろとか、現実的布教政略も持っていた。

 一方で、日本国内の安倍一派(支持者含む)の言説を辿ると、石油惜しさに日本船タンカーを保護する、といういつもの安倍節にだまされ、表面的言い訳をうのみにしている。本当は米軍が自衛隊からの情報を得て有利に有志連合を進めたいと直言しているのだから、米軍の下働きしているほうが正確だ。
 なんらかの取り違えで、イラン・イラク両国の原理主義派(体制派・非体制派問わず)が、自衛隊タンカーと接触したり、スレイマニ暗殺への聖戦として近場の米軍へ報復攻撃した場合、当然だが、イラン政府の警告どおり日本も標的になる(イランのザリフ外相が2019年1月9日、国連憲章51条に基づく侵略への自衛権を主張)。安倍戦争法で同盟国救援目的で反撃可能になっているのもまずい。

『コーラン』解釈に基づく聖戦の基本ルールで、自衛隊が米同盟国として標的になった場合も、アッラー信徒の敵が消極的に撤退すればそれ以上深追いはやめておけ、となっているわけだから、最も賢明なのはトランプ相手に事をなあなあにしてさっさと自衛隊を帰国させる、又は出兵を遅らせさせない作戦だ。

 石油タンカー防衛目的など愚かな言い訳なのは、これまでも自衛隊なく石油取引は行われてきた事、そもそも革命防衛隊(イラン国軍より強い民兵)から米同盟国へ宣戦布告されている事からも一見して明らかだろう。自衛隊の中東出兵は完全に、イラン側からみて米同盟国の諜報活動としか受け取られえない。
「米同盟国としてイラン周辺で疑わしい活動をしている」時点で、聖戦の報復範囲に入る事は確実なのに、自衛隊を石油輸入船を守る為に派兵している、など幼稚な言い訳が通ると信じている安倍支持者らは、己の知能水準と相手のそれが一緒だという前提に立ち過ぎる。嘘を鵜呑みにしてくれる愚者がいるか。

 英米仏の目立つ挑発行為に対し、在国米軍と関係なく、遠い極東へまで革命防衛隊やイラン国軍らが報復に来る可能性は幾らか低い状態にあるのだから、内心知らんふりを決め込んで、トランプらの「テロとの戦い」扇動へ特に乗らないままで問題ない。大体トランプ自身、在外米軍を撤退させたいのだから。
 中期的にみて、トランプのスレイマニ暗殺は、イラン周辺への騒擾行為により米軍排斥の世論をよびこむと同時に、軍産の支持も勝ち取る一石二鳥の戦略だ。中東から米軍を撤退させケチれる上に、不安定な対外政情下で強硬なトランプの二選に弾みがつく。
 日本は彼やイラン国情を斟酌し大人しくすべし。