ブロック癖のあるパワーインフルエンサー(フォロワー数がごく多いSNS利用者)が勘違いしているのは、批判は人類がもつ公共性の修正装置で、基本的に発言者側の親切なのに気づいていないということだろう。
イケズ的な悪意で相手を陥れたければ、相手がどれほど間違っていても誰も忠告しないからだ。
今回、あいちトリエンナーレ2019大炎上で某記者はおそらく今後、国内で総すかんを喰らい政治的・社会的に干されてしまうだろう。彼は菊タブーへ公共の立場から安易にふみこむ前に、ジェンダー定義論の時点で既に批判をブロック癖で視界排除していた。異論封殺の悪癖は自ら全会一致の幻想を増長する。
慰安婦像の方は単なる安倍政権との対立だが、御影破壊の方は皇室・神道信者との信仰対立を含むのでより一層深刻だ。宗教戦争は論理を超えているので信者同士絶対に譲らず、過激派信者の攻撃・自己防衛でしばしば誰かが命を失うまでエスカレートするし、基本的に止めようがないからだ。
「公共施設で、税金により、国の象徴の肖像写真を損壊するのが法的、道義的、信仰・表現の自由の面で無問題か」と、並以上の有識者が周囲にいて彼に忠告できていれば、これほど致命的な負の大炎上はしなかったろう。東浩紀氏一派のブロック癖は以前から問題があったが今回、完全に終焉に至ったと思う。
今のところ慰安婦像しか撤去するといっていないが、より深刻なのは国の象徴や信仰の自由を侵害する御影破壊の方なので、神道系の自民党員や国家行政の一部である宮内庁がこのまま黙って見過ごすとも思えない。最高裁まで、津田氏側が、行政による作品撤去を表現の自由に反するとして上告しても、敗訴する可能性も相当高い。なぜなら国の象徴の損壊や、信仰の自由の面から、ここでの天皇の位置づけは非常に特殊なので、公共施設で行政展として某御影展示を無制限に表現の自由の範囲で認めるとは思えないからだ。
津田氏の理屈「行政は憲法22条に基づき検閲すべきでない」という立場から、憲法1条の日本国・日本国民統合の象徴を行政展で損壊する表現を最高裁が認めるかといえば、これはおそらくありえないのではないだろうか。天皇への名誉毀損は刑法232条2で首相が代理して訴えることになっている。つまり、津田氏と安倍首相が御影損壊の行政展示を巡り、最高裁まで訴訟しあう可能性がある。慰安婦像の場合は国際世論が味方につくが、税金を使った天皇への名誉毀損の場合、皇族だけでなく日本国民の神道信者や天皇支持者全体を挑発する代物だ。
津田氏側は慰安婦像問題と混同を狙うと思うが。
無論、天皇批判なんて人格否定レベルのものならヤフーコメント欄で、眞子内親王・小室圭氏の婚約問題で秋篠宮家全体へ凄まじい表現で日々行われてたり、当たり前の様にあるから私人なら問題ない。愛知県が国の助成金を使いながら、愛知県民税で、御影破壊を公共の為に展示するのが政治的事件なのだ。津田氏側がもしガチ左翼として最高裁まで御影撤去を訴え、勝訴したら、逆に彼が宗教革命家として日本史に載るレベルの偉人として祭り上げられる可能性もある。山本太郎氏の越訴事件以来の戦後天皇制への挑戦になる。しかし勝つまでに極右から命を狙われる危険性もあるが。
津田氏側がもし途中で御影撤去を受け入れ、そのまま「表現の不自由」と戦った自由記者ネタとして、自分のちょっとした名誉として経歴に載せるくらいで鞘を収めてたら、単に今後、日本国内のあらゆる場所で右翼から突き上げを喰らうので仕事干されるくらいで終わると思う。こっちになる可能性のが高い。朝敵としての反天皇表現を自ら代表の立場で行政展に掲示する(通常の審査なら内容を危惧した行政側が落としている)。これほどの蛮勇は最近みたことがなかった。勝ったら日本史上の宗教革命家、負けて朝敵、撤退で負け組という高リスクな天皇への喧嘩売りが功奏するかとは別に、ある種のアートテロだ。
安倍内閣や宮内庁は天皇とグルな上に、最高裁裁判官も天皇と直接しばしば会談してたりする。で議員も全会一致で違憲退位に賛成しないと睨まれるから共産党すら反対しなかったわけで、要は天皇なるものは三権独裁した裏のラスボスなわけだ。津田氏は日本で最高裁裁判官が彼に味方すると思うのだろうか?
僕としては津田氏が勝訴し、天皇侮辱の表現が行政展でも何でもありなんですよ、という流れになったら、天皇の象徴性なり聖性を国が否定したことになるので、王権神授説・尊王論の否定から、共和政への変革が緒につくと思う。だから逆に大炎上しまくりながら火達磨になって最高裁まで特攻してほしい。
作者の嶋田美子氏の方は天皇批判の表現の自由として恐らく保護されると思うけど、行政展に彼女を招致し、監督として展示企画した津田氏と、愛知県知事大村秀章氏が、代表責任を問われる。安倍首相がどんな手管で大村氏と調整し、大事になるのを回避するのか見物。なにせ安倍氏は日本会議なんだから。
安倍首相が上皇・上皇后陛下を「表現の不自由展」にご招待し、津田氏や大村氏と一緒に、嶋田氏『焼かれるべき絵』や慰安婦像を鑑賞すればいいと思う。もし日本が芸術に理解のある国なら。
極右がアートテロに発狂してしまうのは理解できるんだけど。その後、上皇陛下がなんと仰るかですよ。その後、上皇陛下が「朝敵津田、大村を討て」と仰ったら、それは極右の行動に大義名分が与えられるわけでしょ。もちろん下手なことしたら死刑になるけれども。けどそうと匂わせる「上意」しか示さないと思うけどね。そもそも国民主権だから知ったことか、といって無視してもいいだろうし。
僕の予想では、上皇陛下は先帝の悲劇をおそらく一番憂慮されてこられたので心苦しく、何らかのお言葉で御影のお姿に悲しみを表されるでしょう。誰でも父があの様な姿で展示された写真を見たら心が潰れる。でも、あの戦争で原爆投下された人達を透かし見る構図になってるので、明仁氏も怒るに怒れない。
「先の戦争で亡くなられた方を思い、写真の姿に重ねられた平和への願いを深く感じました」とか言うのが、戦後天皇としての模範解答の一つかもしれない。いずれにしても皇室が某作品を直接テレビ局連れて鑑賞したら、安倍氏も津田氏も大村氏も、表現の自由を認めたまま最高裁まで争う必要ないんでは?