賢愚は知識の有無ではない。尊卑は知識の有無ではない。それらは働きである。ある時点でその人が持っている知識量には常に限界があるが、働きは各々、少量の知識でも優れたものがある。
卑しさと無知は別。無知による他害は動機的に悪でない場合があるが、卑しさによる他害は動機が悪意に基づいている。「無知で説明できるなら証拠なく悪意のせいにしてはいけない」
人を見て法を説け、だとしても、他人の知性を過度に高く見積もり過ぎる方が、低くそうするより優れている。なぜなら相手を尊重していることになるし、少なくとも何かを学ぶ機会を与えた結果になるからだ。しかし他人の知性を低く見積もり過ぎていると単に相手を馬鹿にしていることになるし、何より、自他が新たな知識を得る機会を失ってしまう。