2019年2月1日

希少性による俗物根性

科学者の考えている様なことが、殆どの人にとって全くどうでもいい様なことであるとは、大衆一般の興味全てについてもいえる。我々は他人が興味をもっていることなど殆どどうでもいいのだが、特に大脳新皮質の進化的一部を使う様な、人類の殆どにとって直接的有益性も一生の間関係する余地もない知性の領分は、正にそうだ。そして他人を特に意味なく蔑む俗物根性が生まれてくるのはこの種の特殊な知性の領域による様に見える。
 学会の派生物としての教授という地位、学位、何らかの賞はこの俗物根性を世界に蔓延させる汚染装置である。希少さを貴重性へと格上げする為、蛸壺的に細分化された各領域の知識人の一部は、政治的権威づけを用い世間を騙している。芸術界も例外ではない。
 かといって通俗性が全てにまさるとも言いがたく、単に我々は特殊な知性を俗物根性の担い手としないよう、その本来の意義を再解釈し直すしかない。