政府が為替取引において追証を制度的になくしたゼロカットを義務づけるのは、単に極端な値動きによる市場の不安定化を防ぐ流動性の確保という本来の為替取引の目的に照らし、証券会社が不安定な通貨・商品で被った損失の責任を取引者側に転嫁し、暴利を貪る国内業者の悪癖を断罪する為に必須である。
同じことは暗号資産を金融商品化し、為替取引風にてこ(leverage)を用いて短期売買を可能にしている取引所についてもあてはまる。いいかえればゼロカット制度の義務づけは、政府が取引所を新金融機関として公認するのと同時に、既存の証券会社にも等しく適用しなければならない。これは現物取引については資産以上の損失がありえないので適用されない。てこを含む為替・商品・暗号資産等の取引で、本来、価格不安定な取引紹介の責任を負うべき金融機関側が、利用者の資産以上の負債を追証扱いで責任転嫁する負の外部性を内部化する為、ゼロカット制度が国民財産保護に不可欠だ。