自らが尊い人であるがゆえに、自分より卑しい人から遠ざけられているとしたら、それはまったく幸せなことだ。卑しい人達と群れ、俗物として大金だとか人気だとかを得ている人の実態は、尊い人がその渦中にいれば本当に不幸せなものであり、苦痛に過ぎないだろう。酔いつぶれ下らない話をし、自分は恵まれていると思っている男がその姿である。
ミルのいう幸福の質という観点を知っていれば、人は孤高に耐えている方がはるかに望ましい。ガウタマがそういっていたよう、卑俗な世界に直接おりていくことなかれ。清きに留まれば、その種の俗物達とはひとりでに縁が遠くなっていくのだから。そしてそれこそ模範的な生き方なのだから。貴族であれ。関わる者は少なくあれ。