2019年1月22日

暗号資産と法定通貨の歴史的意味

私達にとって重要なのは幸福で、特にその質だ。
 金儲けは有限の資源である信用貨幣を寡占するゼロサムゲームでしかなく、この意味で資本主義社会の金持ちは人類一般に不幸をもたらしている有害な存在である。よって蓄財自体も顕示的消費も単なる嫌味にしかならず、他人に不幸をもたらす行いでしかない。その種の目的のため為事する者は、はじめから不幸を買っているのだし、そこでまきちらされる害悪は他人をまきこむ。
 暗号資産は通貨発行権の自由化により国の支配力を弱め、既得権益が不幸をもたらしている既存の保守的経済体制を一掃する。文明化にとって重要なのは万民にとっての幸福の増大と質的向上なのだから、暗号資産が国の発行する法定通貨を駆逐するのは全く望ましいことだ。徴税権が一部の匿名通貨に適用しがたいという問題は、単に法的な捜査可能性によって補われねばならない。
 暗号資産が新たな金儲けの道具にしかならない、という意見の前では、結局、私達の幸福とは利他主義の追求によってしか達成できないと結論できる。暗号資産の歴史的意義は法定通貨の既得権益である大企業や資本家、また皇族らといった金銭を寡占している人々が転落するきっかけをもたらしたことにある。実際、有限の資源を公平に分配しない人は人類の天敵としかいいようがなく、この意味で資本経済下で法定通貨をより多くもっている人達がその持ち分をへらすほど望ましい。逆に私達の幸せは全利的に自他を等しく幸福にする行いにある。