2017年6月24日

金と道徳

金に魂を売った人は、不幸に苦しむ。金を奪って魂を殺せない人を恐れるな。金は人を殺し得ず、悪徳が人を殺す。金の為に働く者は生涯苦しめられ、人の為に働く者は誉められる。
 清貧は成金に優る。芸術は商売に優る。
 衆愚は破滅を択びたがる。衆愚と共に生きるのは苦しい。衆愚は悪徳に媚を売り、金にひざまづく。衆愚から離れる一生は幸いである
 賎民は共に群れ、悪徳を礼賛しあう。下民は偽物を崇め、本物を辱しめる。愚者は無知を知らず、知ろうともせず、偏見を誇る。衆愚はあしき偏見に安住しようと群れ、身を誤る。
 愚者に合わせるな。衆愚の為に商いするな。尊き者、人徳者、賢者、知識人の為に振る舞え。大衆はあしき者であり、貴族は善き者である。知者は様々な禍を避け、優雅にくらす。哲学は最上の仕事である。芸術は哲学に仕え、設えとその身を整える。理性は人のあらゆる活動の王座を占める。科学知識は道徳の婢であり、政経は倫理の実際的側面である。
 金は魂を売る者の為の道具なので、金の為に働く者は死に瀕する。人の為に働き、無償で奉仕し続けた者を神が見放す事はない。たとえその人が神を信じていないとしても、社会に於ける良識の原理がその人を救うだろう。