地位や身分に惑わされる事なく、尊い人とのみつきあうがいい。天皇も卑しく、乞食も尊い。下賎な者が象徴や権力者であったなら、その国は卑しい。下賎な者が崇拝されているならその国は卑しい。ある文化資本のもち主がどの位におかれているかをみよ。その地域における尊卑の文脈は、仲間の過去である。卑しい伝統をもつ仲間とつきあうな。尊い伝統の仲間とのみつきあえ。尊卑は伝染するからだ。そして尊卑が、その仲間にとって幸福の中身である。
尊い仲間がみつからなければ、ただ一人でいる方がよい。サイの角の様にただ一人歩め。卑しい仲間とつきあい下俗に染められるより、孤高の趣味に遊ぶ方がよい。一人でくらせないというなら、自らの次に最も尊い一人とのみ歩め。必要がなければ、下衆と会わないのがよい。社交性が益するのは下賎な者においてである。その下賎な者に比べ社会の成員はみな尊いからだ。このため社交を要する生業を好む人間は、みな尊い人達より比較して卑しい。弟子のいない聖が最上であり、一人のみの弟子をもつ聖がその次位である。弟子の多い聖は既にして俗である。最上の聖は常に隠者としてのみくらしているだろう。