ある社会的命題をおいもとめていない建築やその設計者は、雑誌の評判や様々な受賞界、或いは大学での地位にかかわらず大きな欠点をもっている。それは人の器、人類の巣をつくりあげるわざによる世界と文化への影響だった。この命題が大きいほど、その建築家とよばれえるだろう人物の偉大さもます。
建築評論のなかで大文字の建築といわれているのは、本質からこの命題なのだろう。大きな事故や災厄に際しても力をもつのはただこの命題の膂力だけだろう。そして普段の状態でさえこの命題をどれほど真摯にといているか、こそその人物の力量を差異づけているある抽象性なのだろう。