2011年12月1日

婚姻

早熟な人間に陸なものはいない。また、晩稲でもよいとは限らないし、中間にもそういう者もいる。しかし、素晴らしくてしかも早熟な人間を私は一度もみたことがない。総じて、早熟であるほど陸でもない。南方の人間は総じて早熟であり、結婚というものをあまり深刻に考えていない。かれらの人生観が堅実なことは殆どない。また、どうやら知能一般のみならず、人生の困難に際した的確な判断力、理性、総合的な知性もここに入るらしい。
 商業地で立派な道徳が知られたことは殆ど一度もない様だ。観光地から人格が優れる事は希である。
 悪い結婚の中で悪い子を育てるより、独身の中で職業に励む者の方が幸福である。この血の量感は目に見えない力、因果律の平衡を求める生態力学によって、栄枯盛衰として逆転する。陸でもない者は続く世代の中で不幸のどん底に陥るが、立派な人格者と一族とはその評判の為に結果として血統を広めていくのだから。
 愚か者にする忠告は無駄。賢者には一言ばかりか寸言でも足る。
 軽い気持ちで性的関係を結びたがる者は獣類付近の暮らしから抜け出た試しがない。貧富や文化資本にまつわる格差の殆ど全ては、どうやらここに由来していた。婚姻とその操の堅さは単に配偶同士のもつ倫理観に由来している。故に、良き家庭はそういう人にしか確立したことがない。家庭人の幸福を知らない者はそれを手の届かない雲の上にしか見ない。皇帝や王侯貴族にとって、この境地は殆ど手が届きえないもの。
 家庭を真に祝われる者は母集団の徳が高いほど少ない。
 時代は職業観や優良種の目安をかえていく。しかし、上記のうち、堅実性の種は殆ど変化がない。