2011年6月26日

教訓

徳ありて後:のち に利あり。利ありて徳なき者は人でなし。

歴史に於いて徳を退け利に逸った者は落ちぶれること多し。徳に着きし者の利足らずは必ずしも損を買わず。

福沢曰く物ありてのちに倫ありと。乃ち学に於ける自然学の次にアリストテレスが後自然学を置いた順序に対応する言質なり。されど、政つまり群れ行動の際にはこの逆の因果いと多し。徳なき君主のもとにありし民衆はみな不幸を被る。
 後自然学の内にあたかも神秘の理ありて、群衆を救い給いける。論語に曰く学びて思わざればすなわち殆しとは危殆を避け得ざる科学者の如く、狂気知者の如く、松蔭門下の長州藩士の全滅の如し。

 君試みにみよ、古今の王座にありし者の利に優るか徳に優るか。これ人生の深奥なり。利に就きし者の命短くその栄華の儚きこと大英帝国の植民連邦の如し、日本帝国の侵略行動の破竹の勢いの如く、薩摩兵の無残なる末路の如し。
 徳とよばれるものにまやかし多く、その分化さも限りなき。故にあやうき人これを徒労とみ、省略して生涯を定む。鳩山由紀夫氏曰く、普天間飛行場を移設なしえざるは我が不徳の致す処なりと。これ正直の言とみて先ず慨嘆の詩なり。常に将来を見据える後生へ告ぐ。「徳は利より尊き。故にゆめ利に逸りて徳を安易に見做すこと勿れ。」必ず末尾に至りて斯くの過ちの幅はてしなく広がり遂に自己破滅に漸近せること人性の必然なり。われ菅直人氏の出処進退をつぶさに観察す。菅氏の奸知の才甚だ鋭く外貌あたかも期待の秀英とみられたるなり。されど一度たかき地位を占めてのちの堕落の様その下なくわずか数か月目には凡俗未満に成り下がりたりて、いわゆる神罰の領域へ立入り天災人災を被りてなお罪科を重ね仲間友人知人を失いて地獄の様態へことごとく堕ちし。その最果ての同情者どもひとしく愚人か人でなしなり。菅氏の従姉妹でもありき妻曰く菅に徳なきと。これ逆さな至言にして業の由縁と目せるなり。