いずれなきこともしりゐる盂蘭盆会
雀の子ちゅん/\なきいるなつの朝
真夜中に響くかわずの喉笛よ
麗らかに薙ぎるつとめて海の歌は
きらびやか過ぎしトラック熱々し
笹舟の乗せた霧雨けぶるまち
月の出る影々しき海まちの闇
ねこの子が待つ朝やけはのびゐたり
すぎさりし日々よりあかき夕やけよ
鳶きゆる峰のはて染む朝霞
潮騒に聴きいるかもめ渚たつ
ふりしきる雨足遠く稲光
シッカショ節うたうオザケン聴け真夏
さみだれの啼く間もしれず晴れ間来し
涼しき夜ただ雨垂れのさむさかな
七夕の飾りをまくる風
しずかな夜サイレンに哭く犬のはるかさ
いつのまにいなくなりきはほとゝぎす
漆喰の前に佇む
かえるまもなくかえりつくありの人
消え去れば跡形もなき通り雨
涼しさをめぐむ救いの大雨よ