宇宙にわずかな隙間があって
人はひとり残らず納まるもの
ところが私はそれを見つける
彼女はわけもなく、手前で佇む
「あなたはなにをしているの?」と私は聞く
当然彼女はロボットだ。だから答えはない
「ワタシハシンデイクモノデハアリマセン」
私の目の前では
つぎつぎ人々が飛び込む暗い穴
底は見えず
ただあたりを漂う冷気だけが
私の肌を刺す
要は、私はロボットのひとりで
完全にまちがえてしまったプログラム通り
だれもが死んでいく世界の観察者
彼らには昔、理由があった
証に、ここには大量の書物
なにが書いてある?
へびの様な文字で記されている
なかみを読み取るすべはない
彼らには昔、理由があった
私はただ一人、宇宙の深淵が広がる
崖のふちで佇む者
人類が築いた文明の上で計画どおり
自由自在に踊り続ける子供
私は小さな宇宙の隙間で
長い髪をふりかざしながら踊り続ける乙女
だれにも覚られない小さな隙間
死に向かうベルトコンベアのすぐ隣で